住宅営業ではテレアポや初回接客時のトークスクリプト活用が有効です。トークスクリプトは営業マンの個人技に頼りがちなハウスメーカーや工務店、住宅会社や不動産会社における営業レベルの標準化と均一化に役立ちます。リフォーム業者やリノベーション業者にとっても有効です。
とはいうものの、トークスクリプトの具体的なイメージがわかないという方も多いのではないでしょうか。この記事では、住宅営業におけるトークスクリプトについて、目的やメリット、作成のポイントや注意点の解説とともに、例文も紹介します。
トークスクリプトとは
トークスクリプトは営業マンが効率よくトークを展開するための武器であり、計画的に作成する必要があります。
トークスクリプトは台本
トークスクリプトは顧客との会話が円滑に進むように書かれた営業マン向けの台本です。住宅営業のテレアポや初回接客の実践において、営業マン個人の力量に頼ることなく必要なヒアリングや説明ができるように作成する必要があります。新人でもベテランと遜色なく、会話の状況に応じた対応ができるように準備されたマニュアルがトークスクリプトです。
トークスクリプトの目的・役割
トークスクリプトの一般的な目的は営業の標準化・均質化に役立てることであり、営業マンのレベルに関係なく一定以上の顧客対応を実現することです。さらにいえば、トークのレベルを磨くことによる受注確保であり顧客満足度のアップを見据えています。そのためには、効率よくアポを獲得する流れや、この営業マンと取引したいと顧客に思ってもらえる内容であることが重要です。
トークスクリプトを用いる場面
建設会社、ハウスメーカーや工務店などの住宅営業において、トークスクリプトを用いる主な場面はテレアポや初回接客です。
・テレアポ
テレアポは文字通り顧客に電話をかけてアポイントを取る仕事ですが、注文住宅の受注や、既存住宅を売るときだけでなく仕入れるときにも行います。住宅販売のテレアポで多いのは投資用物件の営業ですが、居住用物件の場合でも基本的な営業手法のひとつです。
ただし、ターゲットが異なるためそれぞれに応じたトークスクリプトを用意する必要があります。仕入れでテレアポを行う際には、土地活用や売却に関するオーナーの悩みに寄り添うトークスクリプトが効果的です。
・初回接客
テレアポが電話を介した接触であるのに対し、初回接客は顧客と初めて直接対面する場です。言葉や声のトーンだけでなく、表情などの見た目を含めてイメージが決まってしまうこともあり、トークスクリプトも目の前にいる顧客を意識した内容となります。
・初回接客後のアポとり
住宅展示場に来場するなどした顧客との初回接客後には、熱が冷めないうちに次につなげるためのアポとり(次回アポとも呼ばれています)が必要です。この段階でもトークスクリプトを活用した効率よい営業活動が行われます。
具体的な話になればトークスクリプトにこだわらない
トークスクリプトは営業の初期段階で活用する台本であり、個々の商談が具体的に進んだ段階ではトークスクリプトにこだわらないことが重要です。案件によって異なる細かい話に入っている段階においては、会話をパターン化してしまうと実情とマッチしなくなったり、柔軟な対応ができなくなったりしかねません。仮に個々の商談の中身に合うようなトークスクリプトを用意しようとしても、無数にある商談に対応できるトークスクリプトの作成は現実的ではなく運用も困難です。
ただし、営業の各ステップでトークスクリプトを用意すること自体が悪いわけではありません。トークスクリプトがあることで、話が脱線してしまうケースの予防が可能になる、最後まで基本的な流れを見失わずに進められるといったメリット・役割があります。
住宅営業でトークスクリプトを作るメリット
住宅営業におけるトークスクリプト作成の具体的なメリットを解説します。
新人でも話すことに困らない
トークスクリプトの第一のメリットは、新人でも話すことに困らないことであり、顧客とのやり取りを円滑に行えることです。
営業は一般的に個人の力量に左右されやすい仕事だといわれていますが、住宅営業においても営業マンによる業績の差は否定できません。リード(見込み客)の発掘からリードナーチャリング(見込み客の育成)、クロージング、さらにはアフターフォローまで高度な対応を要求される住宅営業において、新人とベテランに差があるのは当然といえるでしょう。
それどころか、新人では顧客との会話の糸口をつかめないケースもあります。そこで役立つのがトークスクリプトです。新人でもトップ営業マンと同様に会話ができる台本があるため、何をいえばよいかわからないといった事態を回避でき、必要な情報提供や聞き取りが可能になります。
ノウハウ・ナレッジの共有
属人化しやすい住宅営業において、トークスクリプトの存在はノウハウやナレッジの共有に役立ちます。トークスクリプトはテレアポや初回接客などの場面において、効果的で効率のよい会話を実現するためのものです。そのために、自社が培ってきたノウハウ・ナレッジを取り入れたものとなっています。同時に営業マンが個人的に持っているノウハウ・ナレッジも共有してトークスクリプトに反映させることにより、チームとしての営業力向上が可能です。
見込み客の優先判断につながる
トークスクリプトにもとづいて決められた流れにしたがいつつ、説明やヒアリングを行うことにより、見込み客としての優先度を正しく判断できます。誰がやっても同じ進み方になるように作られているのがトークスクリプトだからです。つまり、話が進んでいった方向によって優先度が高いか低いかがわかる仕組みになっています。また、優先度の判断ができるように作ることが重要です。
顧客満足度のアップ
トークスクリプトによって無駄のない適切な会話の流れを作り、必要な説明とヒアリングができる状況を作ることは、顧客にとっても無駄な時間を回避できるなど有意義なことです。トークスクリプトを活用することで営業マンに対する印象がよくなれば、Win-Winの関係に近付けます。顧客にとって必要な情報の提供や課題解決のきっかけを示すことができれば、顧客満足度がアップし、商談を円滑に進めることが可能です。
トークスクリプトの流れと作成のポイント
住宅営業のトークスクリプトの流れと各ステップにおける作成のポイントを解説します。
あいさつ・自己紹介
最初のあいさつは営業マン自身と会社やブランド、商品やサービスの第一印象を決め、興味を持ってもらう重要な要素であり、自己紹介も含めて過不足なく簡潔にまとめることが重要なポイントです。これといった関係性を築く前の段階であり、あいさつや自己紹介を通じ、顧客の警戒心や不安感を取り除く必要があります。
SNSや公式サイト、ウェブセミナー(ウェビナー)などを通じてアクションのあった顧客に対するインバウンド営業におけるトークスクリプトでは、問い合わせや資料請求に対するお礼など、顧客が自分で接点を作った企業であることをいち早く認識してもらうことが大切です。
住宅展示場での初回接客では、営業マンのあいさつよりも早く見学したいといった顧客もいますが、担当者としての自分の存在を認知してもらうためのワンクッションを入れる必要があります。営業マンの存在感が薄いと、ただ設備を見るだけで終ってしまう可能性があるためです。
こちらからアプローチしてプッシュするアウトバウンド営業におけるトークスクリプトでは、自分がどこの誰で要件は何かを簡潔明瞭に伝えるだけでなく、自社の都合で顧客の時間を使わせてもらう点に配慮した言葉が欠かせません。時間を使わせてもらう点はインバウンド営業でも同じですが、顧客に頼まれたわけではない点が大きな違いです。
ヒアリング
あいさつ・自己紹介が終わればヒアリングに進みます。注意したいのは、顔の見えないテレアポでは余計な話が時間の無駄になりかねないのに対し、対面での初回接客ではあいさつ・自己紹介とヒアリングの間に雑談などを挟むアイスブレイクが必要なケースがある点です。顧客の緊張感が解けていないままヒアリングに進んでも、断片的な情報しか得られない可能性があります。
ヒアリングの目的は、顧客の希望や課題、疑問点の把握です。また、解決のために何が必要か、どのような方法を使うかを考えるうえで役立つ情報を収集する内容とします。住宅営業におけるトークスクリプトで盛り込むべき質問・確認項目は、主に以下の情報を引き出すためのものです。
・頭金やローンなど予算に関する情報
・決定権者は誰で複数いるのか単独なのか
・現状の住まいへの不満
・場所や間取りなど新しい住宅への希望
・スケジュール
・住宅の購入に関する疑問点や悩みなど気になっていること
・他社との接触状況
提案
ヒアリングで聞いた内容に沿って提案を行います。提案は自社商品の紹介や他社との差別化はもちろんのこと、顧客にとってメリットのある内容でなければなりません。一方的に自社が売りたいだけの話になってしまえば、盛り上がりに欠けて次のステップに進まないでしょう。他社との差別化では、他社を貶したり否定したりすることは厳禁です。希望が叶う、課題が解決するといった自社を選ぶメリットを強調することが重要なポイントになります。
クロージング
テレアポでは初回面談の日程を決めることが、初回接客なら次回面談のアポを取りつけることが最後のステップであるクロージングです。トークスクリプトのポイントは、相手任せではなく営業マンが主導権を握る形での会話にあります。「いつがよいですか」といった聞き方では迷いが生じてしまったり、いつでもよいから急がないといった話になりかねません。
「この日とこの日ではどちらがよいですか」といったように選択肢を提示して選んでもらうことが、クロージングの成功率を上げるコツです。
※ここまで示したトークスクリプトの流れは、次のアポをとって話を進めるための内容です。リード獲得から受注・アフターフォローまでの流れを示す営業フローのステップや営業プロセス全体の流れとは異なる部分があります。
トークスクリプトの注意点
トークスクリプトを実際に役立つものとし、最大限の効果を得るための注意点を解説します。
作成時の注意点
トークスクリプトの作成時における主な注意点は以下の通りです。
・目的の明確化
何の目的でトークスクリプトを作るのかを明確にすることが作成における第一の注意点です。目的が曖昧では、使える台本が書けません。
・想定問答の用意
トークスクリプトは台本ですが、顧客はその台本を知りません。したがって、顧客の反応を決めつけることはできず、ターゲット・ペルソナに応じた想定問答を用意する必要があります。
・ポイントの設定
伝えるべきポイントを決めておくことで、その場になってトークスクリプトとにらめっこするといった事態を回避できます。
・説得力を高める
数値や具体的なデータなど信ぴょう性がある要素を盛り込んでおくことで、顧客に対する説得力を高めます。
・話のつながりを重視
あいさつに始まってクロージングへと続く流れが滞らないように、話のつながりを重視した組み立てを考えます。
・見やすさ重視
本番で台本を頼りに演技をする俳優がいないように、トークスクリプトに書いてあることを探しながらでは円滑な営業トークができません。内容とともに見やすさも重視して、パッと見てわかるようにまとめることが重要です。
・使い分けを考える
営業は生き物であり、トークスクリプトもワンパターンではさまざまな状況に対応しきれません。想定問答とも通じる部分がありますが、複数のパターンを用意して使い分けを考えます。
運用上の注意点
・台本は台本でも芝居の台本ではない
トークスクリプトは台本ですが、芝居の台本とは異なり、必ずしも台本通りにしゃべらなくてはならないものではありません。顧客との会話の展開次第では、トークスクリプトを参考にしながらも引っ張られない柔軟な姿勢が重要です。
・あいさつ方法の徹底
あいさつは気を抜いていると型通りの形式的なものになってしまいがちです。テレアポで自分がどこの誰で要件は何かを伝えるときも、初回接客で名刺を渡すときも、気持ちを込めてキチンと行うことを徹底する必要があります。
・傾聴とアイスブレイク
ヒアリングでは単に質問して回答を得るのではなく、顧客の声を傾聴する必要があります。また、傾聴できる状況になっていなければアイスブレイクの活用も重要です。
・押し売りではない
提案する際には押し売り臭くならないように注意します。顧客にとってのメリットの訴求が不十分な場合などは、押し売り感が出てしまいかねません。
・相手を否定しない
顧客の言葉に対して切り返しを行うことは営業の常です。トークスクリプトでもスマートな切り返しを想定しますが、勢い余って否定的な言葉を使ってしまわないとも限りません。切り返しと否定は異なるものであり、相手が否定されたと感じるような言葉や表現方法を使わないよう注意が必要です。
・テストクロージングの活用
クロージングを行う際には簡単に引き下がってはダメですが、反応が悪ければ無理にアポをとろうとしないことも重要です。クロージング前にテストクロージングを行うことで、顧客の温度感を探ることができます。
・好印象を残す
住宅営業に限らず、営業マンは顧客とのかかわり全体を通じて好印象を残すことが重要です。とくに会話の終了時、別れ際の印象はその後を大きく左右しかねないため、よい印象を持ってもらえるように終える必要があります。トークスクリプトそのものが効果的なものであったとしても、雰囲気ひとつで結果が変わる可能性があるため要注意です。
ブラッシュアップ
トークスクリプトは作って終わりではありません。その後もノウハウの蓄積や状況の変化があるため、常にブラッシュアップする必要があります。また、実際に使ってみた結果として、結果が出ない、想定していない話になったといったケースがあれば、見直し・改善が必要です。
トークスクリプトの例文
ここでは各ステップについて参考となるトークスクリプトの例文を紹介します。
あいさつ・自己紹介の例文
「○○工務店の○○と申します。先日は○○のほうで資料請求いただきまして、誠にありがとうございました。突然で恐れ入りますが、少しお時間をいただいてもよろしいでしょうか。本日は○○様に○○のご紹介をさせていただきたく~」
突然以降の文言は早めに出したほうがよいケースと、断り文句を誘発しかねないため後ろに回すケースがあります。どの時点で出すにしても、相手に対する配慮として、あいさつ・自己紹介の段階で必要となる文言です。
ヒアリングの例文
「お住まいを建てるうえで、デザインや設備、土地選びなど気になっていることやお困りごとはございませんか」
「費用や住宅ローンの組み方、固定金利か変動金利かなどについてすでにお考えですか」
押し売り感が出ないように気を付けつつ、現在の気持ちを直に引き出す聞き方をします。こちらからの連絡について顧客が興味を示してくれた場合には、急かさないように注意しつつ話を進め、住宅説明や、仮プラン・資金計画提案のためのアポへとつなげます。
「いつ頃までに新しいお住まいで住み始めたいとお考えですか」
「ご予算はどれくらいの幅でお考えですか」
提案するプランの選択に直結する情報となるため、購入時期や建築時期、予算の確認は重要です。ただし、アポとりの段階で最終的な着地点が決まるわけではありません。その後の状況により変わり得るため、あくまでも現時点で商談化するための、顧客にメリットのある提案をするための要素として聞き出します。
提案の例文
「こちらのシリーズは○○を広くとることができ、○○な生活をしたいとのご希望にマッチします」
「○○を採用することで家族が集まりやすく、温かみのある住まいを実現できる点が弊社の特徴です」
提案は顧客のニーズを満たしつつ、他社と差別化できる自社の特徴も交えて行います。提案ではトークスクリプトだけでなく、ビジュアルで訴求できるデータ・資料の併用が効果的です。
クロージングの例文
「この2つのプランならどちらがお好みに合いますか」
「来週の月曜日と水曜日ではどちらがよろしいでしょうか」
前述したように、クロージングでは選択肢を用意することで断る余地を狭めます。
「この住宅設備はちょっとよくないね」といった断り文句が出た場合は、「○○のような住宅ならいかがですか」「実際にご覧いただいたほうがイメージが掴みやすいと思いますので、ぜひモデルハウスへご案内したいのですが、ご都合はいかがでしょうか」といったように、次回への可能性を残します。
まとめ:
住宅営業のテレアポや初回接客ではトークスクリプトを活用して実績作りにつなげよう
住宅営業のテレアポや初回接客の成功率を上げるためには、トークスクリプトの活用が有効です。トークスクリプトがあれば、新人であっても実績豊富なベテラン営業マンが行っているトークの展開ができます。トークスクリプト作りでは、会社として蓄積されているモノだけでなく、個々の営業マンが持っているノウハウ・ナレッジも共有して落とし込むことが重要です。しっかりと作ったトークスクリプトをうまく活用して、実績作りにつなげましょう。


